イエティの足跡発見! 実は報道の勇み足?
「日本の捜索隊がネパール・ヒマラヤのダウラギリ山群でイエティの足跡を発見し、写真撮影に成功」とのニュースが、10月21日に日本を駆け巡った。イエティと言えば雪男であり、ネッシーやツチノコと並ぶ三大未確認動物の一角を占める重鎮である。当然、熱烈なファンも多く、2ちゃんねるでは「捏造じゃないの?」と騒がれ、多くのブログでも取り上げられた。
しかし、当の日本からの捜索隊「イエティ・プロジェクト・ジャパン」の公式ブログ「イエティ捜索隊2008」によると、どうも歯切れがよくない。足跡の撮影に成功したのは事実だが、捜索隊としては「今回は大きな成果を収めることができなかったと、おそらく各隊員がちょっとした失望感を抱えながら山を降りてきた」と言う。「目的はイエティそのものの撮影」であり、足跡しか撮影できなかった今回の結果は、当人たちにとっては決して誇れるものではなかった。
つまり、自分たちから「おれたちは足跡の撮影に成功したぜ!」と積極的に発表したわけではなく、なぜか当人たちはあまり価値を認めていなかった「イエティの足跡写真」が日本で一人歩きしてしまったらしい。確かに、「イエティ・プロジェクト・ジャパン」の公式サイトのトップには「2003年イエティ捜索隊が目撃し、足跡を発見してから5年。イエティ捜索隊2008 今度こそその姿を撮影します。」と、「イエティを撮影するぞ」という強い決意のほどが語られている。
捜索隊としては「成果を上げられなかった」と認識していた今回の結果。それなのにどうしてまるで「世紀の大発見」のように報じられてしまったのか?
経緯はこうだ。捜索隊は記者会見を開いたわけでもなく、最初に取材に来たフランスの通信社に対して答えた内容が、カトマンズの英字新聞の一面に掲載され、それがイギリスや日本の通信社によって流され、さらにテレビのニュースとなり、ネット上でも大いに話題にされる騒ぎとなった。
しかし、イエティの足跡の写真自体は、今井通子さんのダウラギリ登山記「私のヒマラヤ」にも出ているし、前述した2003年の捜索の際にも撮影されており、決して最初に撮影されたものでもない。「イエティ捜索隊2008」の該当記事を執筆した角幡唯介さんは元新聞記者でもあり、今回の騒動を「こういったニュースのニュアンスが変化する経緯はよくわかるし、僕らの活動やイエティのことが広く伝わるのは諸手をあげて喜ぶべきなのだが、しかし、なんともしりの穴がこそばゆい感じがする」と言っている。
とかく人は熱しやすく冷めやすい。サントリーが協賛し、朝日新聞社が後援しているこの大プロジェクト、捜索隊の戸惑いはともかく、「新発見か?」と騒がれるほど忘れかけられていた「雪男」に再び世間の注目を集められたのは確か。次回の「本体の撮影」に大いに期待したいものだ。
[イエティ捜索隊2008(ブログ)、イエティ捜索隊2008]
(黒田)




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